今、求められる「旧姓の通称使用」

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旧姓も使うやさしい社会の実現を

夫婦の姓は時代変化を背景とした法整備が必要

人口動態統計によると、令和3年の女性の平均初婚年齢は29.5 歳で、前年より上昇しており、それ以降の年齢においても初婚数は毎年緩やかな増加を続けております。今、結婚前に仕事に励みキャリアと有形無形の資産を築いた女性の婚姻が増えています。

【出典】令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/dl/15_all.pdf

また、結婚に際し全体の95%の女性が改姓していますが、30歳から39歳の女性で、実に71.0%が改姓により「何らかの 不便・不利益があると思う」と答えています。(出典:内閣府調査

この状況に対し、各民間企業は旧姓使用を認める傾向にありますが、後ろ盾となる法令ならびに社会システムが存在しないため、民間企業の努力だけでは、改姓による不便・不利益の解消は出来ません。

私たちは、国が結婚後の旧姓使用を認める法律を制定し、国・地方・民間企業 のシームレスな連携を実現させる事を望みます。私たちの提言は以下リンクにてご確認ください。

何故、結婚後の旧姓使用拡充を求めるのか

改姓による不便・不利益の解消

○ 結婚して姓を変える女性は全体の約95%
結婚で男女どちらか一方が改姓をします。(民法第750条)また、結婚により改姓する女性は全体の95%(出典 内閣府)に上ります。女性の初婚年齢のピーク(中央値)以降、毎年緩やかな増加を続けており、仕事や社会においてキャリアを形成した女性の結婚が増加しております。これに伴い、改姓に伴う不便・不利益が顕在化しております。

○「何らかの不便・不利益があると思う」71.0%
30歳から39歳の女性聞いたところ、結婚による改姓により「何らかの不便・不利益があると思う」と答えた者の割合が71.0%占めています。(令和3年度 内閣府 家族の法制に関する世論調査)そして、「日常生活上の不便・不利益」があると回答した割合が83.1%とトップ、つづいて「職業生活上」34.6% 「実家の姓を残せなくなる」27.9% 「心理的負担」13.5% と続いています。

○ 不便・不利益の具体例

身分証明に使われるマイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどだけではなく、銀行口座ならびに証券口座、クレジットカード、保険関連、社会保険関連、携帯電話契約など多くの改姓の手続きが必要です。また、不動産や車などの動産の名義変更も行う必要があります。結婚をして新しい生活を始めるにあたり必要な届出であり、資産管理のために必要な届出であるのは理解していますが、改姓する側に手続きにかかる負担がのしかかっているのが現状です

結婚の届出は就業先にも行う当然ながら必要であり、その際に給与振込の銀行口座は結婚後の姓名の口座が必要です。社員証、名刺、メールアドレス等の変更しなければなりません。これにより、他部署、取引先まですべての人に結婚して姓が変わった事が周知され、事務手続き以外の「煩わしさ」も発生します

○ 国・地方・民間企業は シームレスな連携を

現在、このような改姓に伴う不便・不利益が現認されています。この状況について国は、身分証明書となるマイナンバーカード、免許証、住民票、印鑑登録証明書、パスポート 等で旧姓併記を認めて、旧姓使用による不便・不利益の軽減を目指しています。今後は国と地方行政のデジタル化 により結婚後の旧姓を使用する阻害要因が改善されていくでしょう。また、民間企業においても結婚後の旧姓使 用の社会的傾向を受け、旧姓使用容認の機運は高まると推測いたします。結婚による改姓に伴う不便・不利益を解消するためは、国・地方・民間企業 のシームレスな連携が必要です。そのためには、旧姓使用の関する法整備が求められています

多くの人々が望む「旧姓の通称使用」

令和4年3月25日に内閣府が発表した「家族の法制に関する世論調査」の結果は次のようなものです。

1.現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設
けた方がよい 42.2%
2.選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい 28.9%
3.現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい 27%

○ 蔑ろにされる旧姓使用を求める声

このように、選択的夫婦別姓制度より旧姓(結婚前の姓)使用を求める声が主流となっております。しかしながら、この状況を夫婦の姓をめぐる報道で取り上げられる事はなく、選択的夫婦別姓を国民が望んでいると思っている人は多いのではないでしょうか。また、これに乗じて推進をすすめる国会議員ならびに市民団体がいますが、国民の声を蔑ろにするこのような風潮は正さなければなりません。あなたご自身の目で、以下の内閣府の最新調査で国民が求めているは「選択的夫婦別姓制度」か「夫婦同姓のまま旧姓の通称使用」なのか、ご確認ください。

「家族の法制に関する世論調査」の概要 (令 和4年3月 内閣府政広報室)
https://survey.gov-online.go.jp/r03/r03-kazoku/gairyaku.pdf

令和4年 世論調査は「設問がわかりにくく、無責任」?

なお、上記「家族の法制に関する世論調査」の設問と構成が前回の調査が大幅にかっており、かつ、実態がない制度が選択肢に入っていることを指摘し、一部の選択的夫婦別姓推進派の国会議員ならびに大学教授より調査の有効性を疑問視する声が上がっています。ただし、「前回までの調査」を含めて公正な機関で検証を行った上で調査の精度について論じられるべきであり、現時点で恣意的な調査であると批判している事に強い違和感を覚えます。はたして、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」と回答した42.2%の人は、わかりにくい設問の無責任な調査ゆえにそのように回答したというのでしょうか。

旧姓使用が求められている背景

○ 女性が職業を持つことに対する意識の変化

平成29年版男女共同参画白書「働く女性の活躍の現状と課題」によると、平成28年から平成18年の10年間で、女性のすべての年齢階級で就業率が上昇しております。また、「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」と回答した割合が、平成4年(1992年)と25年程度の間に,男性は約2.7倍、女性は約2.1倍に増えています。これは、女性の就業率は増加しており、働く女性を支援する育児の整備・拡充されただけではなく、結婚後も職業を続ける事を是認する社会風潮が背景にあると考えられます。

○ 男女別の意識の変化


女性は職業をもたない方がよい結婚するまでは職業をもつ方がよい子供ができるまでは、職業をもつ方がよい子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい子供が大きくなったら再び職業をもつ方がよいその他aわからない
男性(%)
平成4年5.714.815.119.839.21.73.6
平成28年3.84.89.652.924.31.92.7
女性(%)
平成4年2.810.811.126.345.41.32.3
平成28年2.84.67.455.3281.10.7

家庭も仕事も頑張りたいから「旧姓使用」を

○ 結婚による改姓に「喜び」72.9%
内閣府令和3年度 家族の法制に関する世論調査婚姻によると、改姓にどのような感じを持つと思うかという設問に対して、「名字・姓が変わったことで、新たな人生が始まるような喜びを感じると思う」が54.1%、「相手と一体となったような喜びを感じると思う」が39.7%と肯定的な回答が「名字・姓が変わったことに違和感を持つと思う」の25.6%を大きく上まっています。また、「相手と一体となったような喜びを感じると思う」を挙げた割合は女性の18~30歳代で高くなっています。

社会人になり、ひたむきに働きキャリアを積んだ私たちは、人生のパートナーを得て新しい家庭を築きました。私たち女性はパートナーと共に家事・家庭のマネジメントを行うと共に、結婚前に取得したスキルならびにキャリアを活用して就業しています。しかしながら、多くの女性は改姓に「喜び」を感じているものの、改姓に伴う不便・不利益を甘受しています。

夫と子供の姓でいたい、でも、社会生活では旧姓を使用したい。なぜ、私たちの願いは叶えられないのでしょうか。

私たち既婚女性が社会人として力を発揮する事は、家庭の安定となり、子どもの将来に利益をもたらします。家庭も仕事も頑張りたい。旧姓使用を求める声はこのような背景によるものです。内閣府の調査で明らかのように、世論は「夫婦同姓維持で通称として旧姓の使用を望んでいます。機は熟しました。もう、国会がこの問題を先延ばしするのは立法の不作為です。国に以下を求めます。

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